保護中: WALTS 9

このコンテンツはパスワードで保護されています。閲覧するには以下にパスワードを入力してください。

広告
保護中: WALTS 9

WALTS 22

WALTS

22. 私 早朝

現在、少しの、人並みの、幸せを手にいれた俺にはこの他人の不幸で成り立ってきたような人生、即ち過去を思い出し文章にする作業はかなりの苦痛を齎す。この行為自体が解毒を促すものなのかフラッシュバックを誘発するものなのかも曖昧で、時に、目の前が白い膜で覆われるような心地を味わう。吐き気がする。それでも世界は流転して行く。あの頃とは違う「人間」のスピードで。

真木子に感謝を伝えたい。俺の前を只、通り過ぎていった幾人かの女共にも。友人にも、風景と化していた名も知らぬ人たちにも。世界は好転する。人並みのスピードで。

陳腐だし。クソみたいな小説の一節のような話だが、ヘドロのような女子大で、都会のビルの狭間で赫い流星を見たんだ。それが何を意味するものなのか?あの頃の僕には理解ができなかったけど、このWALTSを書くことでその意味を少しでも理解できるように努力していきたいと思う。

「なぁ、僕、どれだけ否定したってお前は俺なんだぜ。」

あれから9年が過ぎた今、また赫い流星を見たんだ。都会の山の頂上で。一人ではなく二人で。人生は逆転する。人並みのスピードで。只、前へと。大切な誰かと、降る雪と同じスピードで。

WALTS 22