VOICE

 本来ファッションは、アンチ的側面を持つシンボリックな意味を取り除き、商品として売り出す傾向があるとされてきた。例えば、アヴァンギャルドなデザインで有名なヴィクター&ロルフは2008年秋のコレクションで安全ピンを使っているが、安全ピンを初めてファッションに取り入れたとされるパンクの反体制的な面を意識的に拒否している(なんとモデルの顔に〝NO〟という文字まで入れて)。もちろんファッションはビジネスでもある。それは今すぐにでも認めるべき事実だ。ファッション業界は世界中の人々に服を与えるだけでなく、工場やデザイナー、販売会社、ショップスタッフ、雑誌、そしてそこに投資する広告主にもお金を回さなければならない。

 それでもやはり、ファッションにはアンチ的側面もある。メインストリームとサブカルチャーは戦略的観点から言って〝ダンスパートナー〟のようなもので、互いに相手の動きを予測しながら動いている。そしてサブカルチャーは常にメインストリームと対立する立場にあり、ひとたび彼らが武器として用いるシンボルが無価値化されたり、時代遅れの物となれば、更なる新鮮かつ衝撃的なビジュアルを見つけ出して反撃手段を考えなければならない。

 もしこの〝創造と剥奪〟のゲームが導入されていなければ、未だに女性は丈の長いドレスを年中着ていただろうし、革ジャンを着ている者なんて犯罪者扱いされていただろう。UNIQLOやH&Mがあらゆる服を無意味化するよりも遙かに前、服が単純にシンボルであったことを思い返すと懐かしくなる。ある意味ファッションとは、個々にとってのメインストリームに対する支持もしくは抵抗心の表れだった。服選び、これは我々の個性を表す唯一の一貫性ある方法論だ。

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